
オーストリア🇦🇹と日本🇯🇵の高級筒
初めにスコープを選ぶ時、実はそんなに迷いませんでした。高倍率かつ軽量なスコープってほとんど選択肢がなかったので。
結果的に最初に買ったSwarovski Z5 5-25×52の性能には大満足。先日追加でZ6 5-30×50も買ってしまいましたがこちらも素晴らしいスコープです。
Marchのスコープは高い!というウワサだけで実は最近まであまりしっかりと調べていませんでした。しかしカタログを見てみると今持っているスワロ2本と似たスペックの機種があるじゃないですか!
March良さそうだよね~と知り合いと話していたら、いつも通っている岩本山射撃場でも買えることが発覚w
と言っても、「良さそう」だけで買うにはなかなか勇気がいるお値段なので折角日本のメーカーなんだし現物を見せて貰えないか聞いてみたところ、なんとメーカーからサンプルを貸し出して貰えることになりました!
今回は手持ちのSwarovskiのスコープ2本とMarchのスコープを、実際に銃に乗せて覗かないと分からない部分を含めて比較していこうと思います。

こちらが今回比較に使うMarchのスコープ。手持ちのSwarovskiのスコープとの大きな違いは10倍比で最低倍率が2.5倍、10ydという超近距離からフォーカスを合わせられる点などです。

Marchのスコープは3本。2本は本命のCompact 2.5-25×42のレティクル違いで、もう一本は狩猟用の低倍率モデルです。plexレティクルが見たいと伝えたら別機種ならあるという事で貸していただきました。
カタログスペックの比較
Swarovski Z5 5-25×52 | Swarovski Z6 5-30×50 | March compact 2.5×25-42 | |
チューブ径 | 1インチ | 30mm | 30mm |
アイリリーフ(mm) | 95 | 95 | 85-100 |
FOV(m) | 7.3-1.5 | 7.9-1.3 | 1.4(25倍) |
レティクル調整幅 elevation/windage(MOA) | 43/25 | 43.2/25.2 | 100/100 |
重量(g) | 495 | 600 | 620 |
他のメーカーの6-24倍など同じくらいの倍率のスコープは800g以上あるものが多く、この3機種はどれもかなり軽い部類で、据銃動作を繰り返すランニングターゲットには向いていると思います。
こうしてみるとZ5は際立って軽いですね~。対物レンズの直径は1番大きいのですが1インチチューブは重さ的にはかなり有利みたいです。
Marchの特徴は10倍比で最低倍率が低い点とレティクル調整幅がすごく広いこと。2.5倍などの低倍率は射撃場では使いませんが、公称10ydからピントが合う(実際は室内5mくらいでも合いました)ので据銃練習にすごく便利そうでした。中距離、ショットガン用とカタログには書いてありましたが100MOAの調整幅があればかなりのドロップがあっても調整出来てしまうので普通に遠距離にも良さそうな?
50mでRT的を見てみる
私の場合、スコープのメインの用途は50mランニングターゲットなので公式大会でも使う的を試しに覗いてみました。Z5だけ撮り忘れてカカシ的ですw
全て25倍で覗いています。雲天、午前8時頃の屋外射撃場です。日中に比べるとやや暗めな感じ。



Swarovskiは2本とも4Wという水平方向だけにメモリが入ったレティクル。これが動的のリードをとるのにとても見やすいのです。
MarchはMMLというタイプ。スタンダードなミルドットです。Swarovskiの4Wに比べるとメモリが細かく、こちらも動的を撃つのに良さそうですね。イルミネーションレティクルで中心部が光るタイプなのですが、写真の通り明るい屋外だとほとんど見えず、射撃場ではあまり意味がなさそうでした。カタログにもありましたがイルミネーションは狩猟向きみたいですね。
明るさ、解像度
正直に言うと、Marchを乗せて最初に的を見てみた時「あれ?」と思いました。フォーカスがなかなか合わない、いつものようにシャープに見えない。
写真はスマホで撮影したので実際の視界に比べると遥かにボヤけて写っています。Marchの視界が特にぼやけてしまっているのは何故かわからないですが、実際はもっとシャープです。得点圏の数字も綺麗に見え、実際に撃つのには何ら支障はないと思います。
それでもSwarovskiと比べるとなんだか鈍いように感じたのは対物レンズが42mmと小さいせいでしょうか。高倍率だと光量も減ってしまうので仕方がないのかもしれません。実際に動的で使う15倍程度まで下げると、特に違和感は感じなくなりました。
Swarovski同士で比べてもZ6の方がZ5より更に明るくシャープに見えます。対物レンズはZ5の方が大きかったりするのですが、それ以上にチューブ径の太さが関係しているのでしょうか。
明るさ、解像度という点では
Swarovski Z6>Swarovski Z5>March Compact
でした。いつもSwarovskiを覗いているのでそれと比較してMarchが少し鈍く見えてしまいましたが、充分な明るさ、解像度だと思います。付け加えると、射撃場で的を撃つ分にはこの項目は余程酷くない限り点数には影響しないと思います。気分の問題です笑
アイボックスの広さ
アイボックスが広ければ広いほど、スコープを覗く時に目の位置が軸線から多少ズレていてもケラれずに像を見ることが出来ます。
アイリリーフはカタログに数字で出ていますがアイボックスは実際に銃に乗せて覗いてみないとわかりません。
アイリリーフはSwarovskiもMarchも同じくらいなので、普段のSwarovskiと同じ位置に接眼レンズが来るようにMarchを取り付けて据銃してみました。
写真で見れたり、数字で表したりできる項目では無いので主観になるのですが
Swarovski Z6>Swarovski Z5 ≒March Compact
でした。これまで使っていたZ5を基準に見るとMarchは同程度、Z6は明らかに広いです。
Z6はチューブサイズが大きくなってインナーチューブも太くなっているせいで、Marchはレティクルの調節幅が大きい分インナーチューブも細めなんじゃないかなーとか勝手に思っています。
Marchはアイボックスが狭い、なんていう噂を聞いていたのであんまり狭いとヤダなぁと思っていたのですが、特別狭い感じはありませんでした。どのスコープでも静的射撃やランニングターゲットで据銃する分には全然問題ないです。
軸線からずれた位置で覗いた時の視差ですが、ケラれる端と端で比べてもどのスコープも10点圏内でちょっと動いたかな?程度。もちろんフォーカスとディオプターを合わせた状態です。50mでスラッグ銃でつかう分には無視して良さそうです。
操作性


SwarovskiとMarchで1番大きく違うのは操作性だと思います。Swarovskiは主に狩猟、Marchは競技での使用想定したスコープなのでその違いが大きく現れているのかなー。

Swarovskiは凹凸が少なくシンプルです。ダイヤルはキャップ付きで比較的柔らかめですがクリック感はしっかりしています。4Wレティクルのモデルはエレベーションダイヤルがballistic turretというタイプになっていて、色分けされたマーカーを3箇所の目盛位置につけることが出来ます。本来は複数の距離でゼロインする為の機能ですが、同じ距離でも弾の種類などによって分けておく等の使い方も出来そうです。
対してMarchは全てのダイヤルが大きく、Swarovskiに比べてやや硬めのクリック感。とても調整がしやすいです。ダイヤルの形状でノーマルタイプとタクティカルタイプがあり、タクティカルタイプは更にダイヤルが回しやすくなっています。海外の様々な距離を続けて撃つような競技にも対応する為らしいです。

MMLレティクルのモデルはダイヤルもMIL仕様。100mで1クリック1cmなのでとてもわかりやすいです。
何より特徴的なのがレティクルの調整幅の広さです。Swarovskiの倍以上の調整幅があり、中距離用を謳ってはいるものの長距離射撃も意識しているように感じます。
総評
実際に使用していた期間が1番長いので慣れの面もあると思いますが、私の今の使い方だとSwarovski Z5が1番使いやすいように感じました。抜群の解像度、500gを切る重さ、静的にも動的にも対応できるレティクル。
Z6の方が最大倍率、解像度やアイボックスの広さで勝っているのですが、レティクルの目盛の間隔Z5とは違うみたいで動的で使うには慣れるまで時間がかかりそうなので、やっぱりライフルが来るまで取っておこうかなあとw
March CompactはSwarovskiの2本に比べて汎用性がかなり高いように感じました。2.5-25倍という倍率は標的射撃だけではなく、狩猟で使うにも使いやすいのではないでしょうか?あとは国内メーカーなので万が一不具合が出た時でも修理対応を受けやすいという安心感があります。Swarovskiも永久保証ですが、海外に郵送しなければならないのでもし何かあったらめんどくさいなあとヒヤヒヤしていたり笑
おまけ

Diplexレティクルが見てみたかったので貸してもらったモデルです。レティクルのセンターに目が行きやすく、狩猟向けのレティクルらしいのですが、動的でも使いやすいんじゃないかなーと思って借りてみました。スコープ自体は1-10倍のショートスコープで完全に狩猟向きです。ダイヤルなどの作りは2.5-25倍のモデルと同じみたいです。

1倍で覗くと裸眼にレティクルが写っているような状態。裸眼より明るくて見やすいかな?いつも高倍率ばっかり覗いているのですごく違和感があります笑
微妙にスコープの外側と景色がズレているので、完璧な1倍ではないみたいですね。
低倍率だからかアイボックスはめちゃくちゃ広くてびっくりしました。他の低倍率スコープを覗いたことがないのでこれが特別広いのかみんなこうなのかは分かりませんがw

最高倍率の10倍だとこんな感じ。ディオプターのせいなのかピンぼけになってしまっていますが、実際はもっと綺麗に見えました。
対物レンズが24mmしかないのに明るさも解像度も文句なしでした。低倍率が好みの人なら射撃用としても良さそうな感じです。
肝心のレティクルですが、うーん…という感じ笑
これも結局慣れなような気もしますが、Swarovskiの4Wより狙いやすいとは感じませんでした。センターに目が行きやすくするために周囲のラインが太くなっているのですが、その太いラインが邪魔というか気になってしまっていまひとつでした。倍率が10倍と低めで余計ターゲットに対して太く感じてしまったのもあるかもしれません。
スコープは買う前に覗きたい
カタログスペックだけでは分からないポイントはたくさんあります。明るさや解像度、アイボックスの広さやレティクルの使い勝手は実際に取り付けて覗いてみないとわかりませんでした。
Marchは貸し出して貰うことが出来ましたが、海外メーカーのものはどうなんでしょう。代理店とかに頼めばあったりするのかなあ。
種類は限られますが、Youtubeで検索すると海外のショップが接眼レンズにカメラをつけて撮影したような動画があったりもするので、そういうのを参考にしてみるのもありかもしれません。